天使のはしご、夕日の空

ヤポニカ

2011年09月08日 08:55

教材づくり続きです
まぁ身近な現象を科学という切り口で見ていきたいなぁということで光とか水とか空気、音なんかをテーマにすんべかと試行錯誤中。
前回の分光器で虹の話でもすっぺかなぁ、とか考えてるうちに思い出したネタの整理です。

で、
天使のはしごってしってますでしょうか?

あまりいい写真じゃないですが、雲の切れ間から光の帯が漏れて光の筋を目で見て確認出来る現象のことを指します。レンブラント光線なんて言う言い方もあったような気がします。

これの何が面白いのか?といえばそれまでですが、まぁ色んな要素を含んだ現象なのです。

チンダル現象と呼ばれるこの現象、どういう物かというとえげれす人のチンダルさんが発見したコロイドの特性の一つで、通常懐中電灯などで人などを照らすと、照らされた人は光に当たってまぶしかったり明るくなったりしますが対象物と懐中電灯(光源)の間は何も見えませんね。つまり光の特性上、光の軌跡を目視することは出来ないのです。しかしそこに存在する媒体(この場合空気)中に細かい粒子状の物質が浮遊した状態(これをコロイドといいます)であると光線が浮遊粒子にぶつかることで乱反射(ミー散乱といいます)を起こし、その軌跡が光の帯となって見える、というもの。この現象が起こると写真のように通常見えない太陽光が差し込んでくるさまを横方向から視覚的に見ることが出来るようになるのです。

説明うぜぇ、となるので

でまぁ簡単に再現してみましょ、ってことでやってみました

要るもの
薄い水槽(転がってた)
レーザーポインター

薬さじ、コーヒーフレッシュ
だらけた気持ち

さぁ始めましょう

コロイドは気体中でも液体中でも作ることが出来ます(液体の場合は特にコロイド溶液なんて言います)。で、今回は水を使ったコロイド溶液でやってみましょう。まず、水槽に水を入れます

この状態ではまだ液体はコロイドではありませんね(まぁ若干何か浮遊してるかもしれませんが、、)

直進光源としてレーザーポインターさんの登場です(最近はLEDの技術が進歩したので色んな波長のレーザーがあって土人的にはとっても楽しい、)。今回は緑色のポインターです(色は実験結果には関係ないですが、、)

水槽を横切るように光線を照射しましたが光の軌跡を確認出来ませんね(これが通常の状態)、右端に水槽を通り抜けたレーザーが反射してるのが見えるのでちゃんと光を照射してるのが判ります。

で、つぎにここに植物性脂肪による微細粒子で出来た濃縮コロイド溶液(コーヒーフレッシュ)を水槽に加えて

コロイド溶液水槽を作ります

いれて、

よく混ぜます


これが天使のはしごの見える条件を擬似的に再現したモノになってるはずなので

レーザーを当てるとさっきは見えなかった光線の軌跡が確認出来ました、というものです(これをチンダル現象と言います)。

お空では光を遮るだけの十分に密度の高い雲とその切れ間、雲の下側に細かいエアロゾル状の物質(水滴など)が存在しているなどの条件が揃うと最初の写真のような天使のはしごが見えるという仕組みです。

水槽でやる場合、あまりコロイドの密度や粒子の大きさが大きいと最後まで光線が届かず散乱してしまうのですが、、。まぁ何となく判ったかなぁとなってくれればいいです。
この現象は他でも見ることが出来るのですがコンサートや祭りのイベントなどでレーザー光線が見えるのもこの現象を使った物で、スモークマシンという電熱器や超音波素子とファンががっちゃんこしたような機械の中に専用のオイルをいれて、細かい油滴のスモークを発生させて会場中に充満させコロイドを準備し、レーザー光線を当てるとその軌跡が見えて「やだぁなんだかかっこいい」、となっています。

追記@9/18台風の中ヤンバルに行ったらすごくガスっていたので懐中電灯でチンダル現象を見てみました

判りにくいですかね?

光源と対象物の間に光の帯が見えますね

まぁだからどうした?っていう程度の物ですがのせておきたいと思います


最後に前回の分光器と合わせての小ネタ 
昼間の空は青く、夕方の空が赤みがかるのは何故でしょう

太陽光線には目に見える物見えないもの合わせて様々な波長の光が含まれています。

図のように人間が見ることの出来るのは波長が短い紫から波長の長い赤までの可視光線ですがこれを特に可視光線と言います。波長が短いほど鋭角に屈折、反射し、長いほどそれらは緩やかになります(この性質の違いで分光を行なうのです)。光は大気など空気分子にぶつかっても乱反射して減衰していきますがその際、波長の短い方が長い方より障害物に当たる機会が多く、乱反射しやすいという特徴があります。
部屋を暗くして先ほどの水槽に懐中電灯をたらしてみました

水槽の上の方は青白い(白い)のにそこに近い所は赤っぽくなっているのが判りますでしょうか?
そこの方の赤っぽいのはなにか特別な色素が入っているわけではなく、光の性質の違いによって障害物(空気分子:この場合はコーヒーフレッシュ)に乱反射する光線の種類に差が生じた結果観察される事象なのです。んでもってこの違いが夕日と昼間の空の違いになっているのです。日中太陽が真上にある時太陽と私たちの間にある大気の層は(高さの分だけですので)薄いので波長の短い青系の光線が乱反射します(ので光線の乱反射した空が青く見えます:水槽の上の方)。日が傾き夕方になると相対的に大気の層が厚くなる(遠くの大気を通して太陽を見ることになる)ので私たちの見た目に波長の短い青系の光線が届かず、黄色、橙系の光線が届くので(水槽の下の方)夕焼け空はあんな色をしているというわけなのです。

な〜んて話ができると大きい物が小さく見えたり、遠くのことが身近に感じたりしませんかねぇ?というようなことを考えてみました、、、。ただ、さんざん準備してなんですがこれも大人数に対してやるにはちょっとなぁ、、、
ということでとりあえずお蔵入り、しばらく試行錯誤が続くなぁ、、、はぁ

追記(9月8日):ちなみに ちるだい は沖縄方言で
  けだるい、何もしたくないさま を表す言葉です
  特に意味は無いのですが画面のこっち側で少し盛り上がったものですから追記しておきます。

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