凪は朝夕一日二回ある
2011年06月16日/ 琉球の気候
今年は梅雨明してから日差しが強いにも関わらず毎日ある程度快適に過ごせておりますが、それには毎日しっかりある法則が働いているからで、ということを意識することはほとんどないかと思います。私たちは昼も夜も「あぁ風が強く吹いてるなぁ」とだけ感じているこの「風」、昼と夜とでは風向きが変わっているのをお気づきでしょうか?というお話。
ここで必要な根本の仕組みはたったの5つ、それぞれは難しくありません。それらが絡み合って見えるので難しく見えますがそれぞれのことを分けて考えられると仕組みは簡単、よく出来たものと感心できます。
●太陽ってすごいエネルギーの供給源
●水は比熱が大きい(暖まりにくくて、いったんあったまると冷めにくい)
●地上部(陸地)は水が少ないので比熱が小さい(すぐに暖まり、すぐに冷える)、一方で海は水しか無いので比熱が大きい
●あったかい空気は膨らんで軽くなる。
●空気が薄く(気圧が下がる)と周りから空気を吸い寄せるため風が起こる
この組み合わせで何がわかるかというと昼間どんな風にして風が吹いているかがわかります。この動きは局在的なので天気図などに現れることは無いのですが、風という恩恵をもたらしているメカニズムです。

この絵のようにして地上では昼間は海側から陸に向かって風が吹いているのです。
①昼間太陽が昇ると陸も海も強烈な日差しにより温められます。
②海(水)は比熱が大きいのですぐには温度が上がりません。
③陸側は比熱が小さいので温められ急速に温度が上昇します。
④地表の温度上昇に伴い、地表上空の空気も温められ、膨張します。
⑤膨張し軽くなった空気は上空へと移動するため上昇気流が発生します。
⑥空気が上空へ移動して地表の空気が薄くなるので海側の空気が陸側へ移動します。
これが昼間私たちが感じている“風”の正体である海風です
⑦海の上にあった空気が陸側に移動したので気圧が下がり、上空の空気が下降してきます。
⑧陸側で上昇した空気は気圧が下がって冷え、下降した海の上空の空気のほうへ移動します。
と長々書くとめんどくさそうですが要は太陽が照っているときは常に地上が温められることで相対的に冷えている海側から空気の塊が移動して風が起き、上空にある空気の塊がそれを補う形で移動している、というもの。空気の大きな循環になっているのでこの動きを海風循環(かいふうじゅんかん)といったりします。
そして日没後、夜になりますってーと昼間の逆の現象が起こります。

この絵のように夜は昼間とは違い陸から海に向かって風が吹いています。仕組みはこう
①太陽が沈み熱を供給するものが無くなる。
②昼間暖められていた海(水)は比熱が大きいのですぐには温度が下がりません。
③陸側は比熱が小さいので今度は急速に温度が低下します。
④海上の温度が高いので、海上上空の空気が温められ、膨張します。
⑤膨張し軽くなった空気は上空へと移動するため上昇気流が発生します。
⑥空気が上空へ移動して地表の空気が薄くなるので陸側の空気が海側へ移動します。
これが夜間に吹いている“風”の正体である陸風です
⑦陸上にあった空気が海側に移動したので気圧が下がり、上空の空気が下降してきます。
⑧海側で上昇した空気は気圧が下がって冷え、下降した陸側の上空の空気のほうへ移動します。
とまたも長々書くとめんどくさそうですが要は昼間とは逆の現象で太陽沈むと比熱の高い海側が相対的に温度が高くなり上昇気流を作るのでそれに伴い陸側の空気の塊が移動して風が起き、上空にある空気の塊がそれを補う形で移動している、というもの。この動きを陸風循環(かいふうじゅんかん)といったりします。
このような動きを昼と夜とで繰り返しているので風向きは変われどなんとなくいつも風が吹いているのです。しかし昼と夜とでは相反する風の吹き方をしているわけでいつかは風の吹き方が切り替わるときがあるわけです。つまり太陽が沈みかけて地上の温度が下がり始め海の温度と変わらなくなったときと、太陽が昇り始め地表の温度が上がりだし海の温度と変わらなくなったときにはこの温度差がなくなるか非常に小さくなり、風を起こす原動力ある上昇気流がなくなります。この一時的に無風に近くなる状態をかぜかんむりに止まると書いて“凪”(なぎ)といい、朝夕の凪をそれぞれ朝凪(あさなぎ)、夕凪(ゆうなぎ)といい、その後また温度差が生じていくことで風向きが変わるのです。
朝、何かの間違いで早起きしてしまった時など、じぃーとしてると風向きが変わったのが判ったり、日没後一瞬風がやんで もわぁーっとしたあとしばらくして風が吹いてきたりした経験はないでしょうかねぇ。それがこんただ仕組みで起こっているのです。沖縄は海が近いのでどこにいても比較的この風を感じられるかと思いますので、興味のある方は風向きと時間の関係に少し注意を払ってみてください。地球の大きな仕組みの一端が垣間見えた気になってきっと楽しいと思います。
わかる人だけでいいのでこのオチ、どうでしょう
Posted by ヤポニカ at 11:10│Comments(0)