霧箱1

2011年05月20日/ 教材作り

ちまたは放射能のことに敏感らしく、
最近よく放射能について聞かれる土人です。

そんな中、目に見えない放射線を計測する機械がガイガーミュラー計数管を使ったガイガーカウンターさんなのですがそんただもんが発明される前に目に見えない放射線を見ることに成功した器具があります。それが霧箱(きりばこ)です。これの発明によりこれまで見えなかった放射線を可視化し、さまざまな研究が進みノーベル賞をとった研究者も出ました。

霧箱の肝というべき原理はこう。密閉容器の中にアルコールなど氷点の低い液体を入れ、ドライアイスなどで冷却すると蒸発したアルコールの蒸気が過飽和、過冷却の状態(結露したがる状態)になります。ところが結露するためには液体が集まる核となる凝結核なるもの(通常の霧でいう空気中の塵や埃)が必要なのですが人工的環境の霧箱の中にはそれが無いので凝結核を求めてこゆーいアルコール分子がたむろする状態になります。その中に放射線源をいれ、そこから放射線(大きいα線やγ線)がとびだすと箱中の空気分子とぶつかってイオン化させるのでその時できる電荷の偏りが核になり瞬時に霧が出来、放射線の軌跡を霧の線として確認できるというものです。

四の五の言うよりやってみましょ!ということで霧箱つくって放射線を観察してみましょう。
材料は
霧箱1
何処にでもない放射線源:今回は燐灰ウラン鉱、ウランガラス、サマルスキ-石、サマルスキー鉄コルンブ石を使用(鉱物の専門店などで扱っていますが専門知識の無い方は手を出さない方が懸命かと思います)
ウランは紫外線を当てると黄色蛍光反応で確認可能、
霧箱1ウランガラス霧箱1
霧箱1燐灰ウラン鉱霧箱1
黄色蛍光を反射している部分がウラン鉱です
霧箱1
サマルスキ-石はレアメタル鉱物の一種で地球のマントル由来の岩石でサマリウムを始め色んな微量元素を含んでいます。
脱線ですが、近年中国のレアメタルの輸出云々の話がありました。が、レアメタル鉱物自体は地球の至る所、それこそ日本でも産出します。しかし鉱物に含有している量は非常に少なく、鉱物自体が放射物質で出来ているのでこの中にわずかに含まれるレアメタルだけを取り出せば、当然ほぼ元の岩石と同じ量の廃棄物が出ます。この廃棄物は当然放射性物質なので処理が大変、なので鉱山は世界中にあっても処理費用がかかりすぎるので採算が合わず放置、となっていますね。中国は処理費用を始め色んなコストがどうもかからない仕組みらしいので安いレアメタルを輸出できる、というからくりです。
霧箱1
なんちゃってガイガーさんで計測するとバックグラウンド15cpm(count per minute)時で1,160cpmと高い放射線を出してます。
霧箱1
霧箱1
保存は調味料入れで作った鉛を流し込んだ鉛箱で行ないます。

霧箱材料は
霧箱1
無水エタノール(霧材料)
ドライアイス(オカノで購入、350円/kg:冷却剤)
プラケース
サランラップ
黒い布(フエルト)
強い光源(今回はLED懐中電灯)
放射線源
です。
霧箱1
アルコールをしましたら
霧箱1
ラップかまして完成です。
霧箱1
暗くして横から光を当てて観察します。アルコールの蒸気が水蒸気の軌跡となって観察できるはずです。

結果、適当に作った割には今回の放射線源たちはよく放射線を出し、軌跡もよく見えました。が、ウランガラス、おめぇは駄目だ。という結果でした。また、写真にしようとするとコントラストをどうやって高くして写りやすくするかも課題として見えてきました。
霧箱1霧箱1霧箱1霧箱1霧箱1
連続写真で見ると写真の左側が放射線源の鉱物、黄色い囲みが水蒸気の軌跡(放射線)です。見づらい写真ですいません。次回もう少し見やすく改良してまた紹介したいと思います。


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Posted by ヤポニカ at 17:40│Comments(0)
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