久米島の両生爬虫類

2011年02月22日/ 両生爬虫類

せっかく久米島に行ったので久米島シリーズ続きます。

(以前に撮影したものです)
久米島の両生爬虫類キクザトサワヘビ
久米島の両生爬虫類クメトカゲモドキ
久米島の両生爬虫類リュウキュウヤマガメ:今回の調査ではヤマガメが穴の奥で休んでいるのは見つけたのですが写真は撮れなかったので昔の写真を(Tさんどうぞ)

 中琉球の沖縄諸島に位置する久米島の両生爬虫類などの生物相は沖縄島などの他の中琉球島嶼と共通する種の多いのが特徴です。が、沖縄島や周辺離島にわんさかいるシリケンイモリがいなかったり、キクザトサワヘビやクメトカゲモドキのような遺存性の高い種が生息していたりと、まぁ現在の久米島が形成する過程で生き物がどのように分布の拡大や隔離、絶滅、種分化をとげていったかいろいろ複雑そうで単純な島ではないのでとても興味深いです。もちろん両生爬虫類以外の水辺環境を利用している他の生物も同様に固有種などが多く見られ、最近ではサワガニ類もよく調べたら沖縄島のものと異なる別種であることが判明したりと島の人が当たり前に接している何でもない生き物それ自体が久米島にだけ生息する固有種や個体群であることが多く、今後学問の進展に伴い、島の存在とそこに生息する生物の価値は高まることはあっても下がることは決してないといえるほど生物相自体が非常に多様性に富み,かつ代替のきかない貴重なものなのです。

とまぁこんな堅苦しいこと書くとウゼェとか思われるのでこれくらいにして
「こんな場所で調査の合間にすこ〜しだけ観察&写真撮りに出かけました。」という報告です。
初日の夜はすごい雨でした。すこし小降りになるけど基本大雨!カエルやヘビにとってもきついなぁと期待薄のままフィールドへ
久米島の両生爬虫類アカマタ
アカマタです。寒かったので元気がなかったかな?これも中琉球の固有種で世界中で奄美諸島と沖縄諸島にしかいない生き物です。久米島の個体は黒い部分も赤い中抜き模様になる個体が多く、古めかしい重厚感があるのが特徴かな?
種としては同じなのですがこういった島ごとの特徴というのが見られるのが琉球の生き物の面白いところでして、これは島という単位が陸上動物にとって非常に大きな天然の障害となってまして、距離的に近接した島嶼間の個体群間でもその隔離時間の経過とともに異なる歴史を刻んでいくことになります。で、そこに住む生き物はある一定の確率で常に突然変異を起こし、それが生命維持に重篤な欠陥を持ち合わせていない形質(模様とか色とか体型とか)ときにはその集団の中に維持されるので結果として島ごとの個体群の特徴が見られると考えられます。これがさらに進むと分類学上の認識できる差異となり別種、別亜種といった扱いになります(またウゼェとかいわれそうですなぁ)。

おつぎはヒメアマガエル
久米島の両生爬虫類
日本で一番小さなカエルです。ベトナムからビシッと東アジアに分布する広域分布種でしたが琉球の個体群は最近独立種とされたそうです(勉強不足でした)。このカエルも模様のこゆいとこなんか久米島の集団の特徴が出てますねぇ。
久米島の両生爬虫類
オキナワアオガエル
今が繁殖期のカエルです。沖縄諸島の固有種ですが、久米島のは体サイズが大きいなぁ(あんまりいい写真ではないので今度またかわいく撮り直したいものです)。
とこんな感じで初日を終え、二日目は風が強くて寒い!といったもっと期待薄な状況で出かけてみました。
久米島の両生爬虫類ガラスヒバァ
オキナワアオガエルの繁殖地に出てきてました。いつもはすごく早く逃げ出すのにやはり寒いんでしょう。黒っぽいヘビなのでガラスヒバァ(黒い=カラス→がらさぁ→ガラス;ヘビ→ひばぁ)です。カエル食いなのでカエルの繁殖地によく出てきます。
久米島の両生爬虫類クメトカゲモドキ
久米島の固有種です。クロイワトカゲモドキ種群のなかではダントツにかっこいいように思いますね。ただ、かっこいいから飼いたいという人が少なからずいてとられてしまうことがないわけではないようです。一度集団が小さくなると回復しにくい生き物なので今後もほぞぼそとでいいから良好な生息地が維持され、違法採取などからも免れていってほしいものです。
と、まぁ他にも色々久米島には面白いものがいますので行ってみるといいかと思います。




判る人だけでいいです。深い意味はありません。

初日あまりに雨が強くて写真の個体に水滴がいっぱいついて大きく引き延ばすと水滴がイボのように見えて使いにくい写真となったのですが

久米島の両生爬虫類
大雨の中、現れた成体 2月 久米島(S)

というキャプションはこういうときに使うのだなぁ、と


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Posted by ヤポニカ at 13:04│Comments(0)
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