宮古の両生爬虫類

2012年09月22日/ 両生爬虫類

宮古シリーズ続きます。こんどは土人の専門のお話
宮古の両生爬虫類
何しに宮古にいったか聞かれたら

空間髪入れずに「遊びにきまっちょるやろぉ!」と即答する事でしょう、今回は仕事にかこつけて気合いを入れて遊んで来た訳です!

みんな自然は八重山があるから宮古はいいや、って扱いをするんですが宮古は宮古で非常に固有性の高い生き物の宝庫(だった)なのでしっかりと見てみたいと思う訳です。というわけで今回見た生き物(両爬)を紹介しまっす
宮古の両生爬虫類
で、場所は伏せますが今回のメインの目的、ミヤコトカゲを探しに行ってきました。
ミヤコトカゲ Emoia atrocostata atrocostata は日本では宮古諸島の海岸線の岩場にしか生息していない小型のトカゲです(フィリピンとかオセアニア系の地域にはいてます)。岩礁地帯でフナムシなどの甲殻類や昆虫類といった小動物を餌としていると考えられています。この宮古島というのはこのトカゲの北限にあたり、非常に面白い分布、生態をしている生き物なのです。といってもそんなに簡単には出会えませんし、写真も撮れません。以前の記録では宮古島の海岸線なら何処でも高密度で生息していたそうですが海岸線までも開発が進んでいる現在、高密度で生息可能な場所が非常に少なくなっています。また、幸運にも見つけたとしても非常にすばしっこいのに加え、
宮古の両生爬虫類
こんな感じで目を使ってよく現状把握を行なっていてちょうどいい距離を保ってくれます。
宮古の両生爬虫類
そんなわけで写真はこちらが石のようにじっとしてカメラを構えたまま待ちに待って撮る事になります。
宮古の両生爬虫類
よくもまぁこんな環境に、、と思うような一見厳しい環境。こういう所に特化する事で生き残っているんですねぇ、コレからも個体群が維持されて行く事を切に願っちゃいます

でこの他に日本一大きいトカゲ、キシノウエトカゲも宮古島に分布しているんですが今回は時間が無くて探せませんでした。少し前に野外繁殖集団を形成してしまったクジャクの影響は大きいと思うのですがただでさえ農地化で生息域が狭まっている所に強力外来捕食者の定着、このトカゲの行く末も心配ですねぇ

宮古の両生爬虫類
外来種つながりでもう一つ紹介、ミナミイシガメです(ヤエヤマイシガメ)。コイツは孵化幼体ですねぇU字側溝にいてました。八重山に元々生息しているカメですが同じ県内でも元々いない島であればそれは外来種ということになります。ということで宮古島のミナミイシガメは外来種です。
宮古の両生爬虫類
カメはとかくシンパが多い生き物ですが(土人もカメの研究者の端くれですが、、)宮古島ではれっきとした外来種、元々陸水域が少ない宮古諸島では限られた陸水域に多くの生き物が必然、集まることになるのでこういったカメの捕食圧もバカに出来ないと思いますねぇ

爬虫類ラストは海岸線で
宮古の両生爬虫類
ブーツがこの旅でぼろぼろになりましたがその原因はこういった植生の残っている海岸線の崖地帯をトカゲ探しで歩き続けたから、
そんな中で意外な出会いがありました
宮古の両生爬虫類
ノッチの上の飛沫帯より少し上のクサトベラの下側の石灰岩上にシマシマの見慣れた生き物の見慣れない姿が、、
宮古の両生爬虫類
エラブウミヘビ亜科のアオマダラウミヘビでした。エラブウミヘビの仲間はウミヘビの中でも割と頻繁に陸に上がるんですがもう少し隠れられる場所というかくぼみというかそんな所にいるイメージを持ってたのですがこの個体は岩の上にポテッ、といてました
宮古の両生爬虫類
yellow lip sea snake らしく顔まわりがちょっとかっこいい模様入り。
宮古の両生爬虫類
弱っていたんでしょうかねぇすごくやせていました。 んでもって写真撮るのでちょっと移動させたら近くの雨水の水たまりに顔を突っ伏してごくごく吸水していました
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体表には外部寄生虫が、、ウミヘビキララマダニ(でいいよなぁ?)がついてました。このダニもウミヘビの生活史を熟知したような生き方をしている変な生き物なんですが当たり前ですがウミヘビがいないと生きられない日陰者の日陰者さんです。
宮古の両生爬虫類
海に帰してあげてついでに泳いでる姿も撮らせてもらいました。何かに使おう、と、、、

で、夜、
我々が来るまでしばらくは天気が晴れていたらしく乾燥していたのでなかなか生き物にあえないかなぁ、、と例の場所に
宮古の両生爬虫類
やはりあえました。宮古島の固有種、ミヤコヒキガエルです。まだ繁殖期に入るか入らないかという時期らしく出て来た♀のお腹は卵でパンパンでした
宮古の両生爬虫類
このカエルは遺伝的には日本の他のヒキガエルよりも中国大陸にいるチュウカヒキガエルに近縁な事が分かってまして宮古島がその昔中国大陸と陸続きかそれに準ずる状態にあった事を伺わせる生き証人だったりする訳です。でも、もっといたと思いますねぇ、高密度だったと思いますねぇ、コイツまで少なくなる事が無い事を願ってしまいます。

宮古島はとにかく開発が進みすぎて生き物がかろうじて生き残っている、という印象を強くしてしまいます。どうする事も出来ないものの生き物を探すと本当にピンポイントでしか生き物がいない現状は危機感を強く持ってしまいます。宮古の方々、結構面白い自然があったはずですよぉ、そして今でもかなりユニークな自然を有しているんですよぉ、自慢に出来るよう、誇りに出来るようにその存在を知ってくれるとうれしいなぁ

ということで両爬編でした

つづく


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Posted by ヤポニカ at 19:04│Comments(0)
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